儀間 由里香さん
(Take it!虹 代表)

ぎま ゆりかTake it!虹 代表

ジャンル NPO・ボランティア教育・文化・芸術

職種 企画経営

活動のエリア 長崎市

プロフィール

Take it! 虹の仲間たち

 私は、人を好きになる時に、相手の性別を問わないパンセクシュアルという、性的マイノリティの当事者です。
 中学校の時に初めて女の子を好きになったとき、私が感じたのはときめきではなく、絶望でした。「みんなは異性を好きになっているのに、どうして私は同性を好きになってしまったんだろう。このことがばれたら、私はいじめられてしまう、好きな人に嫌われてしまう。」
 そんな思いから、自傷行為を繰り返し、自殺を考えていたあの頃、もし周囲に、多様な性に関する肯定的な情報を伝えてもらえていたら私はもっと自分の事を大切にできていたのではないかと思います。
 葛藤や仲間との出会い、カミングアウトを通して、安心できる居場所ができた今だからこそ、あの頃の自分と同じように悩む誰かが交流できる居場所を作り、肯定的な情報を発信したい、そんな思いから、「Take it!虹」をスタートしました。

交流会

 「Take it!虹」は、性的マイノリティに関する人権サポートや啓発活動を行っています。
 性的マイノリティとはL:レズビアン/G:ゲイ/B:バイセクシュアル/T:トランスジェンダーをはじめとした人々の総称で、人口の7.6%ほど存在するといわれています。
 しかし、差別や偏見も根強く、性的マイノリティの人々の自殺企図の割合は一般平均と比較しても6倍も高いといわれています。
 こうした負の連鎖を断ち切るため、まずは、悩みをシェアできる交流の場の設置と、教育へのアプローチを行おうと講演活動を実施しています。

講演会

 平成28年からは無関層への啓発を行うべく「ながさき・愛の映画祭」を開始し、多様な性の在り方をはじめとした、ちがいが尊重され「すべての人が安心して暮らせるまちづくり」を行っています。
 講演活動スタート時は、自ら学校に出向き、想いを伝え、なんとか講演のチャンスを頂いていましたが、現在では、県内外から講演依頼が来るようになり、その対象者は、学童から大学院生、教職員、PTA、行政、企業にボランティア団体にと、輪が広がっていきました。
 しかし、性的マイノリティはもちろん、この街に暮らす全ての人が、様々な違いと共通事項を抱えこのまちで暮らしています。
 だからこそ、全ての人が自分自身も違いの当事者なのだと実感することができれば、他者の抱えるちがいも尊重できる社会が実現できるのではないかと思い、ちがいをテーマにした映画祭を実施し、他の市民団体とも連動し、活動しています。

(更新 平成30年9月)

ライフヒストリー

15歳 初めて同性を好きになり、自分の性の在り方に不安を感じ、自傷行為を行う毎日
16歳 初のカミングアウトをし、受け止めてもらえたことで、生きていてもいいと思える
19歳 恋人がトランスジェンダーであるという事を理由に家を追い出され、葛藤する
23歳 「Take it!虹」を設立し、交流会や講演会活動を開始する
27歳 「ながさき・愛の映画祭」をスタートし、ちがいを体験できるコンテンツを提供

Q. プライベート(休日)の過ごし方は?

私は、本業である介護福祉士の仕事の傍ら、市民団体として「Take it!虹」を運営しています。
そのため、日ごろ、人とかかわる時間が長いので、プライベートでは一人の時間をとても大切にしています。
本や漫画を読んだり、散歩をしたり、写真を撮ることも大好きです。
でも、その反面、友人と出かけて、たくさん話をしたり、勉強会に出て、自分が知らなかったことを学ぶことも大好きです。
一人で、自分の内面を掘り下げることと、他者との交流を通し、世界を広げる事、両方が私にとって必要で、寝る時間がもったいないなぁといつも思います。

Q. 座右の銘(好きな言葉)は?
理由などあれば合わせて教えてください。

【人生に意味を与えるのは自分自身】

過去に起きた出来事は変えることができませんが、自分がその出来事をどのように受け止め、どのように生かしていくかは自分自身が決めることができると考えています。
私はこれまでの人生の中で、死にたいと感じていた時期があったからこそ、この活動を通して、たくさんの仲間に出会うことができているし、これから先、辛いことがあったとしても、きっと、それは未来の自分を救うのだと信じて、ゆっくり時間をかけ、落ち込んだり、喜んだりしながら、味わっていきたいです。

Q. これからしたいこと(今後の目標)は?

性の多様性はもちろん、国籍や宗教、障がいの有無などに関わらず、全ての人が安心して暮らせる社会の実現を目指し、開催している「ながさき・愛の映画祭」も今年で3回目を迎えます。
来年度以降は映画の鑑賞といった受動的なコンテンツだけではなく、ダイアログ・イン・ザ・ダークやゆるスポーツなどを取り入れ、違いをポジティブに実感できる場を提供していきたいと考えています。
そうした体験を通し、全ての人がちがいの当事者であることを認識できるようなきっかけづくりを行うことで、ちがいを超えて共生できるまちづくりを行っていきたいです。